自己PRエンジニア像生成AI
エンジニアとしての価値観
研究と開発を往復する中で辿り着いた、根拠と実装に対する考え方についてまとめています。
私がエンジニアとして最も大切にしていることは、「何を根拠に、そう言えるのか」を問い続け、その答えを実装まで貫くことです。
ハルシネーションとの格闘
大学2年次から、愛知工業大学発スタートアップでインターンとして生成AI(LLM)を組み込んだシステム開発に携わっています。特許文書を入力原文としてLLMに処理させ、アイデア生成や企業分析のレポートを出力するような業務です。その中で、私は数え切れないほどのハルシネーションを目撃してきました。
もっともらしく、読みやすい。しかし、原文には存在しない情報。それが専門用語や具体的な数値の形をとると、技術的な知識を持たない人間には判別できない。私はそれを「検証できないハルシネーション」と呼んでいます。
この問題意識が、研究テーマに直結しました。LLMが生成したテキストが入力原文にどれだけ基づいているかを、形態素解析を用いて定量的に測る評価指標 (原典適合率)を独自に定義し、学会で発表しました。実験の結果、批判的レビューを挟む手法が統計的に有意にスコアを低下させること——すなわち「生成文における見栄えの向上が事実性の希薄化を招く」ことを示せました。
認識の転換
研究と開発を往復する中で、ハルシネーションに対する認識が変わりました。
「原文に存在しない情報=ハルシネーション」という当初の定義では、LLMの創造的な飛躍——イノベーションの種——まで否定してしまう。価値ある洞察はちょっとした飛躍から生まれる。本当の課題は飛躍そのものではなく、不確実な情報が過度に確信的なトーンでユーザーに提示されるかどうかにあると気づいたのです。
根拠を辿れる知財探索の場
この認識の転換が、現在開発中のアプリ「Veridea」の設計思想に直結しています。
Verideaは、特許文書を起点にアイデア生成・類似特許検索・協業先マッチングを行うWebアプリです。数百万件の特許公報・特許分類・法人情報をPostgreSQLで管理する自前のDBを整備し、FastAPIでAPIを構築、Next.jsでフロントエンドを実装しています。
このアプリが他のLLMツールと異なる点は、生成物の根拠を追跡可能にする一貫した設計にあります。生成されたテキストの直接引用箇所には引用タグが付与され、タグをクリックすると原文の該当箇所へ自動スクロールしてハイライトされます。また、LLMの飛躍には
[推測]タグが明示され、原典適合率の評価処理によって未検出語が一覧表示されます。ユーザーに「信じるか否か」の二択を迫るのではなく、何が事実で何が推測かをユーザー自身が判断できる状態を作る。「ユーザーが安心してLLMの飛躍を観察し、自らの洞察を引き出せる空間を提供する」——これがVerideaの設計思想であり、 の研究から続く問いの、現時点での答えです。
問題の構造を見る
この姿勢は、研究や自分のプロジェクトに限らず、身近な場面でも自然に出てきます。
財政を担当している学生自治団体では、ビンゴ大会の景品番号管理を手作業で行っていました。参加人数の変動への対応と人為的ミスが毎年の課題でした。それを解決するために、Fisher-Yatesシャッフルを用いた番号割り当てアプリを自作し、導入しました。「なんとかなっている」で済ませず、問題の構造を見て、プログラムで根本から解決する——そういう判断が自分には自然に出てきます。
問いが、行動の出発点にある
私の短所として、完璧主義と自己評価の低さを挙げます。「まだ足りない」と常に感じています。ただ、それは同時に、現状に満足しない原動力でもあります。
論文を書いたのも、アプリを作ったのも、「これを測りたい」「これを解決したい」という内側からの問いが、行動の出発点にあります。
生成AIの社会実装が急速に進む中で、問いを立てるだけでなく、その答えを設計に落とし込み、ユーザーの手に届く形にするエンジニアとして、社会に価値を提供していきたいと考えています。